地価推移の情報に敏感になれば不動産物件の提案で失敗しない?
不動産物件を提案するとき、重要ポイントになるのが地価相場なのではないでしょうか? 地価は全国一律ではなく各都道府県によって違い、強いては各地域によっても異なるので、物件紹介時にはしっかりと把握しておきたいものです。そこで今回は、地価の種類や税金との関係性、地価推移データに見る土地市場、という3つのマメ知識を紹介します。これを読めば、不動産物件を紹介する際に欠かせないポイントが一目瞭然です。
実は推移する地価にもいくつかの種類がある!
地価は「土地の価格」の略称で、正式には地価公示価格(公示地価)や地価調査価格(基準地価)などがあります。ここでは地価の基準を担う「公示地価」をはじめ、3種類の地価について見てみましょう。
地価公示価格(公示地価)
全国に定められた標準地の「土地の価格」を1年に1回、公示しているのが地価公示価格です。土地の価格の水準になる標準地は、土地鑑定委員会によって「都市計画区域内」から選定され、1年ごとに見直しが行われています。公示地価とは「標準地の1㎡あたりの水準になる価格」になるので、最安値や最高値ではありません。また、個人や法人を問わず、誰でも使えるものです。固定資産税や相続税などの「税金のベース」としても使われます。
- 国土交通省が毎年1月1日に「宅地のみ」の価格を公示
- 標準地は全国26,000地点(平成29年)
- 価格の判定は土地鑑定委員会と不動産鑑定士で行われる
地価調査価格(基準地価)
地価調査価格は、都市計画区域外の土地の価格を1年に1回、公示します。都市計画区域内を調査対象とする公示地価とは違い、より広域な範囲の地価を公示しているのが特徴です。
- 都道府県知事が毎年7月1日に「宅地+林地」の価格を公示
- 標準地は全国21,644地点(平成29年)
- 価格は不動産鑑定士が鑑定評価を求め、都道府県知事が判定する
取引価格(実勢価格)
土地の相場変動を目的としない公示地価や基準地価とは異なり、実際の取引市場で売買される土地価格を公表しているのが「取引価格」です。実勢価格とも呼ばれ、全国主要都市の基本統計量が公表されます。
- 取引価格はアンケート調査の結果回答を集計したもの
- アンケート調査の対象は土地・建物(マンションなどの区分所有建物を含む)で取引した購入者
- 主要都市における「土地の価格帯」(最小値・最大値・平均値など)を基本統計量として公表
街路や相続税に関する地価も決められている!
前述した基準地価や実勢価格は、すべて公示地価を基準としています。いわば公示地価とは、地価ピラミッドの頂点に君臨するようなもので、年間不動の時価です。この「地価の基準」と「1年に1回の評価による時価」が、ここでのポイントになります。
実は税金にも公示地価が関係している
土地と関係する代表的な税金といえば、相続税と固定資産税の2つ。相続税は土地・建物の所有者が亡くなったときにかかる税金で、固定資産税は土地の面積や建物の高さなどにより納税額が変わる税金です。公示地価は、これら2つの税金を決めるうえで欠かせない土地の基準ですが、時価であることも大きな意味を持ちます。例えば、相続税では死去の日にちが公示地価の基準日である1月1日の前か後で変わってくる、という特徴があります。
相続税路線価
相続税は、所有する土地に面する道路の地価で納税額が決まる「路線価方式」を採用しています。路線価とは、本人所有の土地と、その周辺一帯の土地の価格が同じ場合に限り、それら一連の土地に面する路線(道路)ごとに評価した「1㎡あたりの価格」です。相続税路線価は「公示地価の8割程度」になります。
- 路線価×所有する土地の面積=相続税路線価
- 相続税路線価=公示地価の8割程度
- 相続税路線価を算定する際は、公示地価以外に「売買実例価額」「不動産鑑定士等による鑑定評価額」などもべ―スになる
- 国税局長が実施し、毎年1月1日時点の評価
固定資産税路線価
固定資産税路線価は「公示地価の7割を目処」とし、路線価方式を採用する点においては相続税路線価とほぼ同様です。ただし、路線価の対象は土地だけなので、土地と建物の評価額から決まる固定資産税では「建物分」が足りません。また、路線(道路)がない地域では、固定資産税はもちろん、相続税も算定できなくなります。そ のような場合に基準となるのが、「固定資産税評価額」と「倍率方式」です。固定資産税評価額では、土地は公示地価の7割、建物は建築費の5~7割を目処としています。また、路線価のない地域では、この固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる「倍率方式」を採用して、固定資産税路線価と相続税路線価を算定します。
- 路線価(道路)のない地域では、固定資産税評価額に倍率方式を用いる
- 倍率方式で算定された評価額は土地に対する価格(建物は対象外)
- 路線価のない地域の建物の評価額=建築費の5~7割を目処=固定資産税評価額の建物分
- 市町村が実施し、3年ごと1月1日時点の評価
現在までの地価推移データで分かること
続いては、過去の地価推移データから時代の特徴を掴み、現在の地価事情についても触れておきます。
バブル期の地価高騰は著しい
内閣府が公表している「昭和49年から平成29年までの公示地価の推移データ」によると、昭和49年の商業指数を100とした場合、最多指数(367.02)を記録したのは平成3年になります。平成3年といえばバブル絶頂期で、昭和63年の公示地価の急上昇(前年より50指数以上アップ)を皮切りに、4年ほど著しく地価高騰が続いた時代です。しかし、バブル崩壊後の平成6年には絶頂期から指数が約130もダウン(235.29)し、そこから公示地価は緩やかに下がり続け、平成17年に底(112.36)をつきました。
平成29年の地価事情
平成29年の指数は137.25で、平成25年から緩やかな上昇傾向です。同年の各都道府県における商業地の公示地価変動率(前年比)は、大阪府が上位を独占しています(1位は大阪中央の41.3%)。都道府県庁所在地別の商業地の最高価格では、大阪市は2位の1,400万円です。1位の東京都23区(5,050万円)と比較すると、その差は大きく開きます。ちなみに、3位は横浜市の1,080万円で、4位は名古屋市の1,050万円です。これらの公示地価を踏まえると、東京都23区はほかの道府県を圧倒しているといえます。
「住宅トレンドに貪欲になる」ことがキャリアアップへの近道!
過去の地価データから現代の推移傾向を把握できるということは、それだけ流行に敏感な証です。住宅トレンドを先取りすることで、不動産物件を提案する際の引き出しが広がり、成約の可能性も期待できるようになります。また、仲介業者向けのコンテンツを展開する「不動産物件の紹介サイト」のなかには更新頻度が高いものもあり、下落修正や相場変動などの際に便利です。予算が気になるなら活用してみてはいかがでしょうか。
参考サイト:
業プロ株式会社 広報担当
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